お米配り

香港はボランティアやチャリティーの文化が意外と根付いています。

先日、先輩にチャリティーの催しに呼ばれました。

太極拳の演武をして、その後、お年寄りにお米と麺を配るのだそうです。


当日、会場では、先輩とそのお弟子さん達が準備に大忙しでした。

(お年寄りに配るお米:倉庫にまだたくさん積み上げられていました。)

チャリティー開始の時間になりました。

お年寄りが続々と入場して来ます。

(満席!)

太極拳の演武者は私を含めて8組。

司会者の挨拶があり、演武が始まりました。

(お年寄りに配られる麺:倉庫にまだまだ
たくさんありました)


ところで。

会場のお年寄り達の目的は、お米と麺を貰う事なんですね。

太極拳の演武なんぞ、実は興味ないんです。

皆さん好き勝手に大声でくっちゃべっています。

何か食べている人も。

体の向きが、演武している正面の舞台じゃなく、後ろに積まれているお米の方に完全に向いている人も。

気持ちはわかるけど…。

(私も演武させてもらいました〜)


司会者がお年寄り達に静かな声で言いました。

「皆さん、聞いて下さい。

演武する人は、毎日 何回も何回も練習します。

暑い日も、寒い日も、練習します。

疲れている日もあるし、時には怪我だってします。

でも、今日、皆さんに見てもらうために、
一生懸命練習しました。

どうか、その辺を理解して、ご覧になって下さいね。」

今まで好き勝手にくっちゃべっていたお年寄り達が口を閉じ、会場がシーンとなりました。

お米の方に向いていた人も、舞台に向き直り、姿勢を正しました。

スタンバイしている演武者達も真剣な顔でうなづいています。

この司会者、いい事言うわぁ!

なんか胸が熱くなった。

司会者が言うほど私、練習熱心じゃないけど。



皆の心が一つになったところで、司会者が言いました。

「次の演武は…」

途端に、さっきまでしおらしかったお年寄り達が再びくっちゃべり始めました。

体もお米の方にいつの間にか向いています。

一旦一つになったかのような心は、簡単にバラバラになりました。

清々しいほどに、わかりやすい人達です。

(会場で:私もお手伝いしたつもり。少しは役に立ったかなぁ?)


演武の後、お年寄り達、堰を切ったように お米に突進して行きました。

香港 ゆるゆる〜 太極拳日記

香港人に太極拳を教わり、教えている日本人です。香港人との太極拳的生活をゆるゆる〜と綴ってまいります。

0コメント

  • 1000 / 1000