サエコの作戦
師匠のお誕生日会では、もう一つ心配事がありました。
サエコ先輩と私の対剣の表演です。
(「対剣」: 2018年2月5日)
(「まだ諦めてなかったか」: 2018年3月22日)
ぶっちゃけ、とても他人様にお見せできるレベルではないです。
私達さんざん「やりません」と師匠に伝えているのですが。
師匠なぜか私達にやらせる気満々です。
あぁ、師匠の親バカ。
そこで、サエコ先輩が作戦を練りました。
お誕生日会当日、
・サエコ先輩は剣も表演服も持たず、
・キャリアウーマン風な装いで、
・会場に遅く到着する
というものです。
仕事が長引いて、会社から直接会場に来た、という設定です。
名付けて
「残念!表演できないや!」作戦
です!
うん!完璧だと思います。
さて、当日。
会場になかなか姿を見せないサエコ先輩に、
師匠が心配して何度も私に聞きます。
「サエコはどうした?」
その度に
「仕事が長引いているようです。」
と、シレッと答える私。
サエコ先輩と私、こういう時だけチームワークがバッチリです。
表演もいよいよ終盤に近づきました。
作戦成功!と内心ほくそ笑んでいる私に、師匠がまた聞きました。
「サエコはまだか?」
私、満面の笑みで
「まだ仕事してるみたいですね〜」
と、その時、私の背後で日本語が!
「あれ〜?まだ表演やってるの〜?」
そ、その間延びした声は!
振り向くと、キョトンとしたお顔のサエコ先輩が!!
「サエコーーー!!!」
師匠の悲鳴に近い嬉しそうな声!!
サエコ先輩、あともう10分遅れて到着してくれれば!
もしくは会場のどこかで身を隠していてくれれば!
よりによって、師匠と話している私に話しかけるとは!!
諦めかけていた私達の対剣の表演。
劇的に現れたサエコ先輩に師匠 狂喜乱舞です。
あぁ、もう避けられない…。
サエコ先輩、衣装も剣もないので、と表演を必死に固辞するも、師匠の動きの方が速かった!
もう誰からか借りてきた、サエコ用の剣を持ってきました。
結局、かかとの高い靴を脱ぎ 裸足で、仕事帰りのデキる女の衣装でサエコ先輩、私と一緒に舞台に立たされたのでした。
相方の私は、表演しないつもりでいたので、型をすっかり忘れています。
大勢の先輩方々やうちのコ達の前で、私達、大トリ勤めさせていただきました。はい。
…表演の出来映えは…
あぁ、思い出したくありません。
その後、会場の中では誰一人 対剣の「た」の字を発する事なく、皆さんお食事に専念したのでした。
0コメント