私は日本人

数年前のお話なのですが。

私がある試合に参加した時の事です。

(写真の場所は本文と同じ会場ではありません)


そろそろ出場なので、コート脇に行き、
スタッフに名前と背番号を伝えました。

そのスタッフはちょっと年配の女性で、
私の名前を見るなり、

日本語で「日本人?」と聞いてきました。

私「はい。」

その瞬間、彼女の顔がパッと輝きました。

このテの人、たまにいます。

日本語を習って、使いたくて仕方がない人。

気持ちはわかります。

私も余裕がある時はお付き合いします。

が、今は何と言っても試合出場直前、
緊急事態です。

緊張で心臓バクバク、
それどころじゃありません。

向こうでウォーミングアップしようと、
私が体の向きを変えたその時、

彼女、私の腕をガシッとつかみ、

「おはようございま〜す!(≧∇≦)」


今、お昼過ぎだし…と思いながらも、
そこは私も日本人。

一応ニコヤカに
私「…お、おはようございます σ(^_^;)」


やばいぞ、これ。
 
このまま延々と日本語の練習相手にされる
パターンだ…。

自分を落ち着かせるために、
持っていたペットボトルの水を
一口含みました。

すると、彼女「あなたは…」

私「…?」

彼女「あなたは……


         あなたは……

          

       あなたは水!」


引きつった笑い顔の私に、
彼女、かまわず続けます。

「お元気ですか?」


ここは試合会場だ。
お元気じゃなかったら、いないわな。


「あ え い お う」


惜しい。「あいうえお」だ。日本語は。


「私は日本語 言いますか?」


あぁ、知らんがな…。


その時、他の選手が彼女に名前と背番号を
告げに来ました。

天の助け!

その隙に、私、逃げました。


でも、もう、ウォーミングアップする時間がありません。

せめてものあがきとして、深呼吸数回。

自分を落ち着かせました。


さて。試合開始。

いよいよ、次は私の出番。

口から飛び出そうなくらい心臓バクバクさせて、コート脇に立っていると、

トントンと肩を叩く感触。

振り向くと、さっきの彼女  Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

親指立てて、

「イチバ〜〜〜ン!(≧∇≦)」


「うるせーーーっっっ!!!!」


と、私は叫びました。

…心の中で。

あぁ、私ってば、ノーと言えない、
典型的な日本人だわ。

香港 ゆるゆる〜 太極拳日記

香港人に太極拳を教わり、教えている日本人です。香港人との太極拳的生活をゆるゆる〜と綴ってまいります。

0コメント

  • 1000 / 1000