スパイダーマン
いつものように電車乗ったら、
スパイダーマンがいました。
電車乗った瞬間、固まった自分を感じました。
周りの乗客は普通に電車乗っています。
いつもの風景です。
状況がよく飲み込めず、キョドる私。
隠し撮りが精一杯の、小心者の私です。
後から聞いたのですが。
このスパイダーマン、九龍と香港島を結ぶフェリー乗り場で、観光客と一緒に写真を撮っているのだそうです。
観光客から受け取ったお金は慈善団体に寄付しているとか。
テレビ局からの取材も、かつて受けているそうです。
スパイダーマンいわく、素顔の自分は自信のない人間だそうで、スパイダーマンになった時だけ、自信がある自分になれるのだとか。
電車が次の駅に到着しました。
乗車してくる人が皆、同じ反応を示しています。
まず、ギョッとする。
周りを見渡す。
そ〜っと隠し撮りする。
先ほどの私も全く同じ行動だったのでしょう。
その後、どの人も、まるでスパイダーマンが見えていないかのように振る舞います。
誰も彼を見ないし、話題にもしません。
その割には、そこはかとなく緊張感が漂っています。
スパイダーマン、ずっとスマホいじっています。
電車は走ります。
フェリー乗り場への乗り換え駅は次です。
スパイダーマン、スマホから目を離し、体を扉側に向けました。
ガラスに映る自分のお顔を見て、マスク…失礼しました、皮膚を引っ張り、お顔を整えました。
この時初めて気がつきましたが、リュック背負っていました。
電車が乗り換え駅に到着すると、普通に下車して、ホームにあるエスカレーターで上がって行きました。
格好以外は出勤するサラリーマンとなんら変わりません。
この後、電車の中は、なんだろう…皆が一斉に一息ついたような空気になりました。
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