コロが来た
私の祖父母は柴犬を飼っていました。
名前はコロと言います。
コロと私はとっても仲良しでした。
ある年に祖父が亡くなりました。
そのお通夜の席で、隣の家のおじいさんが私にした話です。
「昨夜、夢にコロが出てきてな。」
「そして"こっち来い"としきりにコロが吠えるんだ。」
「翌朝、目が覚めたら、あんたのじいさんの報せがあってな。ビックリした。」
その話を聞いた時、私は
「コロは私を呼びに来なかったなぁ。」
と、ちょっと寂しく思いました。
----------------------------------
月日は流れて。
隣のおじいさんも、祖母も、コロもすでにこの世を去りました。
私は日本を離れて、香港で暮らしています。
香港で癌になり、手術を受け、病室のベッドの上にいる時の、ある晩、私は夢を見ました。
私は男の子と犬と遊んでいます。
どこかの草原だったような気がします。
男の子が、そろそろ帰ると言うので、私は途中まで送って行く事にしました。
送って行く道中が、先ほどの草原から、人通りの多い白い建物の中に風景が変わっていました。
周りの人達は皆、白い服を着ています。
私もいつの間にか白い服を着ていました。
男の子がふと立ち止まり、私の顔を仰ぎ見ました。
その時、私は男の子のお顔を改めてハッキリ見ました。
ずっと前から知っていた子だと思っていたのですが、実はこの子には初めて会ったんだと、その時に気が付きました。
男の子は
「僕たちはここで失礼するね。」
いつの間にか男の子の前には上に向かう白い階段がありました。
「僕たち車があるんだけど、途中まで送るよ。
一緒に乗って行かない?」
と、男の子が人差し指で階段の上を指しながら、私に聞きました。
私は一瞬迷いましたが、
「私、やり残した事があるから、戻らなくちゃ。」
と、答えました。
男の子は
「そんなの、後でいいよ。
僕たちと一緒に行こうよ。」
と、誘ってきました。
私はその時、一緒にいた犬に視線を向けました。
犬は巻き毛で洋犬のようです。
が。
何故か私は
「またね。コロ。」
と言って、頭を撫でました。
洋犬はその瞬間、男の子を引っ張り、階段を昇って行きました。
----------------------------------
翌朝、スッキリ目が覚めた私。
夢を思い出して、
「やり残した事って、何だろう?」
と、考えました。
…。
……あ。
………ブログ。
あーーー!!
まだ書き終わってなーい!!
その日、慌ててベッドの上でiPhone にポチポチと字を打ち込んでいた私でした。
0コメント