師匠の歌
4月4日。
師匠のお葬式が無事に終わりました。
ヘンなウイルス蔓延のため、うちのコ達と私はお香典とお花だけの参加にさせてもらいました。
マルちゃんはお葬式に行くと言っていましたが、私が止めました。
許してくだされ、師匠!m(_ _)m
今、私はおとなしく家で師匠の思い出にふけっています。
そういえば、師匠。
歌を歌ったことがありましたね。
あれは、ある太極拳のパーティーでした。
皆で食事しながら、やいのやいの、楽しんでいた時。
誰かが師匠に歌をリクエストしました。
師匠、最初は固辞していたのですが、やはりやいのやいの推されて。
渋々ながらも、ついにマイクを持って、舞台に立ちました。
私、師匠の歌を聞くの初めてで、ワクワクしちゃったのを覚えています。
私の隣には女性の師傅(シーフー:先生)が座っていました。
武術界で、私より一世代上で、師匠よりは一世代下、師匠とは長いお付き合いです。
地獄耳の私は、
師匠が舞台に上がった時に、
その女性師傅が小さな声で「え…?」と言ったのを聞き逃しませんでした。
私、その女性師傅に聞きました。
「師匠の歌を聞いたことがありますよね?どうですか?」
女性師傅,黙って目を閉じ、かすかに首を横に振りました。
わずかに眉間にシワが寄っていたような…。
そうこうしている内に、師匠が歌い始めました。
カラオケなしのアカペラです。
太鼓持ちの私、ここは大いにその能力を発揮すべき時です!
まずは手拍子!
が、
なかなか拍子が合わせにくい歌です。
しかも、師匠が何を歌っているのか、私さっぱりわかりません。
隣の女性師傅,師匠の歌に全く構いもせず食べまくっています。
どうしよう…。
手拍子が難しい…。
つか、私……
浮いてる。
なんだか嫌な汗が出てきました。
師匠の歌が終わりました。
皆さん、一斉に拍手!
隣の女性師傅も箸を置いて、体を舞台に向け、力一杯拍手!
女性師傅、私とは場数が違う!
師匠、照れながら舞台を降ります。
ホッとする私。
次に師匠の歌に遭遇することがあったら、私も隣の女性師傅のように振るまおうと、その時思いました。
その機会は再び訪れませんでしたが。
師匠、私のように困る人を出さないためにも、天国では太極拳だけを教えていてください。
では、また!
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