ある雨の朝
香港は雨がよく降ります。
香港の大雨警報は3種類あり、
正式名称を
・黄色暴雨警告信號
・紅色暴雨警告信號
・黑色暴露警告信號
と言います。
ここでは、それぞれを
「黄雨」「紅雨」「黒雨」
と書かせていただきます。
どういう基準で、どこが境い目なのか、よくわかりませんが、黒雨が最強、次に紅雨、黄雨の順になります。
黒雨になると「安全な場所に避難せよ」という意味だそうです。
警報はテレビやスマホの画面でチェックできます。
その日は朝からバケツをひっくり返したような大雨でした。
もうどんだけデカいバケツなんだ?という大雨です。
その日は地元の市民センターの教室を借りて、太極拳のクラスがありました。
雨は激しさを増しています。
学生達との連絡網グループチャットが騒がしくなってきました。
「ねぇ、雨すごくない?」
「今日クラスどうなるんだろう?」
「わ!黄雨だ!」
「うちのマンションの出入り口、水浸し!」
「うちの前の道路は河になってる!」
「うちなんか下水の排水口から水が溢れているよ!」
…自慢大会になってきました。
うちのコ(私の学生)達の長男的存在にマルちゃんというコがいます。
某インスタントラーメンのキャラクターになんとなく似ています。
騒々しいチャットにマルちゃんが発言しました。
「クラス開始まで、まだ時間がある。もう少し様子を見よう。」
皆、納得したようで、チャットが静かになりました。
30分後。
「ねぇ、雨すごくない?」
「今日のクラスどうなるんだろう?」
「わ!紅雨だ!」
「うちのマンションの出入り口、洪水!」
「うちの前の道路は河になって氾濫してる!」
「うちなんか排水口が噴水になってるよ!」
…話、盛ってない?
そこにマルちゃんの鶴の一声。
「クラス開始まで、まだ少し時間がある。もうちょっと様子を見よう。」
チャットが静かになりました。
10分後。
「ねぇ、雨すごくない?」
「今日のクラスどうなるんだろう?」
「うちのマンション…
「今電話したら、大雨で市民センター閉鎖。よって、今日のクラスは中止。以上!」
チャットが一瞬静かになりました。
が、すぐに
「さすがマル先輩!」
「マル先輩デキる!」
「ありがとう!」
「👍👍👍」
マルちゃん大絶賛で、騒がしくなりました。
大の大人がこれだけ揃って、
「市民センターに直接確認する」方法を思いついたのが、マルちゃん1人というのは、大いに問題あるな、と思いつつ、私も皆に紛れて、そっと「謝謝」と送っておきました。
マルちゃん、ありがとう。
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