彼ら
その日、私は太極拳のパーティー会場にいました。
(カンパ〜イ!)
今日のお供は、うちのコ(私の学生)の長男的存在 マルちゃん(男)と、本職はダンスの先生 ダンサー(男)です。
(前菜。子ブタの丸焼き)
円卓を囲んで、出される料理に舌鼓を打っている時です。
同じテーブルにいた一組の中年夫婦がマルちゃんに話しかけました。
「あなたが日本人の太極拳の師傅(シーフー:先生)ですか?」
(パーティーで表演される獅子舞)
マルちゃん「いえ、違います。
(私を指して) こちらが…」
中年夫婦「おお、すばらしい!!
あなたの広東語は香港人のよう
だ!」
「いえ、だから、違います…」
否定するマルちゃんをぶっち切り、彼らは今度はダンサーに話しかけました。
「おお!お顔はよく拝見しております!
あなたはいつも試合で入賞されている方
ではありませんか!!」
ダンサー「いえ、私は太極拳の試合はまだ
出たことないんですけど…」
ダンサーの説明も虚しく、彼らの目線の先は私へ。
「君。君はかなり恵まれている環境だぞ。
この方たちを見習って、太極拳の練習に
励みなさい。」
ところで、その日は各師傅に名札が配られていました。
皆さん、ちゃんと胸に名札を付けていたのですが、私は左の脇腹に付けていました。
彼らは、テーブルに隠れていた私の名札に気付き、言いました。
「やぁ、君はずいぶん変わった名前をしているね。
まるで日本人みたいだ。」
「………。」
暫くして、彼らは急な用事を思い出したそうです。
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