月下美人
月下美人↑
ある夜の、太極拳クラスからの帰宅途中、近所のおじさんに出会いました。
おじさん、自分の家の上の方を眺めています。
香港というと、高層ビルが所狭しと建っているイメージがありますが、中心を外れると、このような3階建ての住居がたくさんあります。
おじさんの家は1階です。
おじさんが丹精込めて育てた月下美人がスクスクと育ち、その先は2階に届いています。
おじさんの目線の先には月下美人の花がありました。
周りが暗いせいか、そこだけボワッと白く浮き上がって見えました。
月下美人--------中国名「曇花」
花を咲かせるのが難しく、咲いても夜の間だけ。翌朝には枯れてしまいます。
中国語には「曇花一現」という言葉があります。
「目の前に突然現れた綺麗な風景や人や現象が、すぐ消えてしまうこと」だそうです。
月下美人の花は枯れると、スープにして飲むこともでき、喉を潤し、咳を止め、血圧を下げる効果があるそうです。
また、その輝くような白さから、美白化粧品にも開発されているようです。
月下美人、見てくれだけではなく、実力もすごいのですね。
こういう人間に生まれたかった。
で。おじさん。
上を見上げたままボソッと言いました。
「写真に撮っておきたい。」
「でも、あんな高い所まで登れない。」
おじさん、いつの間にか私を凝視していました。
まったく。いい年して他人様の家の壁をよじ登るなんて思ってもみませんでした。
この光景、第三者が見たら通報するよ!
お巡りさん来たら、おじさん責任持って説明してよ!
努力の賜物↓
立派に任務を終え、地面に戻り、おじさんの溢れるような笑顔を見た私。
まぁ、おじさんの笑顔で良しとするか。
でも、2度と他人様の家の壁は登りたくない。
翌日、帰宅途中で、おばさんに出会いました。
昨夜のおじさんの奥さんです。
おばさん、自分の家の上を見上げています。
…デジャブ。
嫌な予感…。
おばさん、しっかりと私の目を見据えて
「あの花、スープにしたいけど、取れないの。」
努力の賜物 その2
3度目のよじ登りがないことを心から祈っております。
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