くじ運

香港のパーティーでは、だいたい抽選会があります。
(抽選箱)

私は毎回 何かしら当てます。

今までの戦利品は数知れず、大きい物では 羽毛布団、CDプレーヤー(2回)、剣、鍋、翡翠、商品券…などなど。

私はくじ運が良いようです。

…そう、あの日までは……。

(パーティー会場を練り歩く獅子)


日本人のサエコ先輩は、抽選をことごとく、全部、見事にはずす人です。

ある太極拳の試合では出場者を決める抽選をします。

抽選とは名ばかりの、ほとんどの人が当選する抽選です。

この抽選にはずれた人を、私は過去10年に2人ばかり知っていますが、その内の1人がサエコ先輩です。

逆の意味でくじ運があるのかもしれません。

 (練り歩く獅子。この後、私にぶつかる。)

その日の太極拳パーティー。

サエコ先輩が私の隣に座っていました。


いつものように抽選会が始まりました。

自分には関係ないイベントだからと、スマホをいじくり出すサエコ先輩。

並んでいる賞品をギラギラした目で見つめる私。


抽選番号がパーティー券に書いてあります。


始まりました。

番号が読み上げられました。

…誰も名乗り出ません。

もう一度、番号が読み上げられました。

…該当者なし?

会場がざわつき始めました。


私が ふと 自分のテーブルに目をやると、無造作に置かれたパーティー券が。

…この番号…? 

当たってる!?

え?…サエコ先輩の…??!!

サエコ先輩、当たると思っていなかったので、番号を気にしてなかったらしいです。

戸惑いながらも賞品を受け取るサエコ先輩。


抽選が再開しました。

私はまだ当てなくていいのよ。

最後の大物を狙っているの。


番号が次々と読み上げられ、会場のあちこちから、その度に歓声が上がります。

私は後でいいの。まだまだ。


突然、サエコ先輩とは反対側の私の隣の人が悲鳴を上げました。

当たったようです。


まだまだ。

まだまだ…。


「それでは、本日最後の賞品になります。」
司会者が言いました。

読み上げられた番号は、私のとはほど遠い番号でした。

向こうの方から歓声が聞こえます……。

(顔面パックが当たったと喜ぶ
うちのコ(私の学生)たち)


数ヶ月後、初めて抽選はずしたショックも柔らぎかけた頃、パーティーで またもや サエコ先輩と同じテーブルになりました。


今回は私も抽選するように言われました。
(抽選箱)

私は抽選箱に手を突っ込みました。

1枚の紙を取り出し、番号を読み上げました。

…誰も名乗り出ない…。

デジャブ。


私の嫌な予感はよく当たる…。


もう一度、番号を読み上げました。


スマホを見つめるサエコ先輩の姿が、私の視界に入りました。

同じテーブルの人達がサエコ先輩を指差している…。

サエコ先輩、スマホから目を離し、自分の券を見た…。

サエコ先輩、立ち上がった。

こっちに来る。

満面の笑みだ。

「当ててくれて 

ありがとうー(≧∇≦)」


私のくじ運、ここに尽きれり!


全てを悟った瞬間でした。

(賞品を渡した後も、しつこく番号を確認している私)

香港 ゆるゆる〜 太極拳日記

香港人に太極拳を教わり、教えている日本人です。香港人との太極拳的生活をゆるゆる〜と綴ってまいります。

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